昨日の産経新聞の朝晴れエッセーというコーナーに30代の男性の文章が掲載されていた。秋田に出張に行った際、バスがなくなってしまい、10kmほどの道をスーツケースを引きずりながら歩いていたら、或るおばさんが車を停めてくれ、送って下さった話だった。そのおばさんにも筆者と同じ位の息子さんがいて、都会で暮らしているそうで、筆者の方がお礼をしたいのでと名前を聞いたら、そういうつもりではないと教えて下さらなかった、という話だった。
僕にも似たような体験があります。
今年6月下旬でしたが、或る工務店さんの依頼で千葉県習志野市の一戸建てのクリーニングを泊りがけで行っていました。手間がかかって夜遅くまで
作業する日が続いていて、暑いので窓を開けっ放しで21時近くまで掃除機をかけたりして、一戸建てとはいえ近所迷惑だよな、と思いつつやっていました。工事の都合で3日目で一旦切り上げて、我孫子市の別の現場を2日間でこなし、また帰ってきて4日目に仕上げるという工程でした。
事件は3日目で切り上げて、次の現場近くの道の駅(車中泊するので)に移動しようか、という時に起きました。もう23時を過ぎていました。こんな遅い時間にエンジン音を響かせて悪いな、と思いつつかけようとしたら、かからない、ウイン、ウインとでっかい音を響かせて。落ち着いて、もう一度かけてみるがやっぱりだめ。だめか・・・このまま朝まで過ごして、多分、朝早くクロス屋さんが来るはずだから、その時にバッテリーを繋いでもらってそれから出るしかないか、でももう一度試してみようと、神様!と思いながらかけてみたが、ウイン、ウインと3たびでっかい音を響かせてやっぱりかからない。
だめか、と諦めかけたその時、1台の乗用車が目の前に停まりました。
すると運転席から1人のおばさんが下りてきて「エンジンかからないんでしょ、繋いであげるよ」「えっ、ありがとうございます」「掃除屋さん、毎晩遅くまで大変ねえっていってたのよ、そしたら、エンジン音がしたけど、なんか音が変よ、かからないんしゃないのって」「これから帰るんでしょ、大変ね」そんなことを言われ、感激、感動、感謝。荷台からブースターケーブルを引っ張り出してどうやって繋げようかとやってたら、近所から別のご夫妻も出てきてくださって、ああだこうだ言いながら、ついに僕の車を復活させて下さった。ああ、何て市井に生きる普通の人々の親切なことよ!あの親切は本当に身に沁みました。母親が息子を思うように、見ず知らずの僕のために尽くしてくださった、ああ、あなたこそお母さんの称号にふさわしい、時々、我々は年配の婦人のことをお母さんと呼ぶことがありますが、この方こそまさにそうだ!と思ったことでした。3日後にまたその現場に帰ったときに会えるといいな、と思っていましたが、朝、現場に着いたときに丁度、外で何かの業者の方と打ち合わせをしておられて、「先日はありがとうございました。本当に助かりました」と言ったら、「また何か困ったことがあったら、いつでも言ってくださいね」って、慈しむまなざしで返事してくださいましたが、結局、名前を聞きそびれてしまいました。でも、あのおばさんもきっと、昨日の朝晴れエッセーの方のように「名乗るほどの者でない」と言って、聞いても教えてもらえなかったかもしれないな、と思うのです。
日本の社会は、そんなお母さんたちが分からないところでささえていますね。感謝!
リナー清掃
住所:埼玉県所沢市東所沢2-29-6 サンむさし野103
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